固定残業代は違法?トラブルになるケースを社労士が解説

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固定残業代とは何か

固定残業代とは、あらかじめ一定時間分の時間外労働などに対する割増賃金を、毎月定額で支払う仕組みです。名称は「みなし残業代」「定額残業代」などでも、実質的に一定時間分の割増賃金を含む制度であれば、固定残業代として扱われます。重要なのは、これは「残業代を払わなくてよい制度」ではなく、「一定時間分を先に含めて支払う制度」だという点です。

基本給と固定残業代は明確に分ける

固定残業代で最も大切なのは、基本給と固定残業代をきちんと分けて示すことです。厚生労働省は、固定残業代を採用する場合、固定残業代の金額だけでなく、何時間分の時間外労働に相当するのか、固定残業代を除いた基本給はいくらか、さらに固定時間を超えた分は追加で支払うことを明示する必要があると案内しています。募集時や労働条件の明示でも、同じ考え方が求められます。

この区別があいまいだと、「給与総額の中に残業代が含まれているはずだが、いくら分なのかわからない」というトラブルにつながります。実務では、求人票、雇用契約書、労働条件通知書、賃金規程の表現をそろえておくことが重要です。

固定時間を超えたら追加払いが必要

固定残業代は、あくまで「一定時間分まで」を定額で払う仕組みです。実際の残業時間が固定時間を超えた場合、その超過分については別途、割増賃金を支払わなければなりません。ここを払わずに終わらせてしまうと、固定残業代を採用していても未払い残業代が発生します。

たとえば、20時間分の固定残業代を支給している会社でも、実際の時間外労働が25時間なら、超えた5時間分は別で計算が必要です。固定残業代は上限ではなく、最低保証の意味を持つと考えるとわかりやすいです。

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休日労働や深夜労働を含む場合は要注意

固定残業代の中には、時間外労働だけでなく、休日労働や深夜労働分を含める設計もあります。ただし、その場合も「何を何時間分として含めているのか」を明確にしなければなりません。厚生労働省の資料でも、固定残業代に係る計算方法、固定残業時間、金額、そして超過分の追加払いを明示することが求められています。

特に注意したいのは、休日労働や深夜労働まで含めるのに、説明が残業代ひとまとめになっているケースです。これでは、どの割増賃金がどこまで含まれているのか不明確になり、トラブルの原因になります。

求人票や契約書の書き方で誤解を防ぐ

固定残業代は、求人広告や募集時の説明で特に誤解が起きやすい部分です。厚生労働省は、募集時には固定残業代に関する計算方法、固定残業代を除いた基本給、超過分の追加支払いを明示するよう求めています。つまり、見た目の月給額だけを大きく見せる書き方は避けるべきです。

実務では、「月給25万円」とだけ書くのではなく、「基本給○円、固定残業代○円(○時間分)、超過分別途支給」といった形で、誰が見ても判断できる表示にしておくことが大切です。

固定残業代を採用していても労働時間管理は必須

固定残業代を導入しても、労働時間の管理が不要になるわけではありません。むしろ、実際に何時間働いたかを正確に把握していなければ、固定時間を超えた分の追加払いができません。したがって、勤怠管理と給与計算は必ずセットで運用する必要があります。

「固定残業代があるから残業代は出し切り」と誤解している会社は少なくありませんが、それは危険です。固定残業代は便利な仕組みですが、説明不足や運用ミスがあると、かえって未払い賃金のリスクを高めます。

まとめ

固定残業代で大切なのは、制度そのものよりも「明確に区分して示すこと」「固定時間を超えた分を必ず払うこと」「実際の労働時間を管理すること」です。見た目の給与額だけで安心せず、求人票、契約書、賃金規程、勤怠管理を一体で整えることが、トラブル防止の近道です。

より詳しく知りたい方は、厚生労働省の資料をご確認ください。

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