遅刻や早退を繰り返す社員への対応は、多くの会社で頭を悩ませる問題です。
「注意しても改善しない」「業務に支障が出ている」といった場合、解雇を検討することもあるでしょう。
しかし、遅刻や早退があるという理由だけで、すぐに解雇できるわけではありません。
解雇には法律上の要件があり、適切な対応を行わなければ無効と判断される可能性があります。
この記事では、遅刻・早退を繰り返す社員の解雇が認められるかどうかと、会社が取るべき実務対応について解説します。
遅刻・早退だけで直ちに解雇はできない
労働契約法第16条では、解雇は「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が必要とされています。
遅刻や早退は勤務態度の問題として評価されますが、
単発の遅刻や軽微な早退だけで解雇が有効と認められることは通常ありません。
判断にあたっては、以下の点が考慮されます。
- 遅刻・早退の回数と頻度
- 継続期間(どれくらい続いているか)
- 業務への影響(遅延・他社員への負担など)
- 会社の指導状況
- 本人の改善意欲
特に重要なのは、繰り返し行われているかどうかと、改善の見込みがあるかです。
就業規則の規定を確認する
遅刻・早退への対応も、就業規則の内容が出発点となります。
一般的には、以下のような規定が設けられています。
- 正当な理由のない遅刻・早退の繰り返しは懲戒対象
- 勤務態度不良として指導・処分の対象とする
- 改善が見られない場合は解雇事由となる場合がある
ただし、規定があるだけでは解雇は認められません。
実際の運用では、規定に該当する事実と、それを裏付ける記録の有無が重要になります。
解雇前に行うべき段階的対応
遅刻・早退が続く場合は、いきなり解雇するのではなく、段階的に対応する必要があります。
基本的な流れは以下のとおりです。
① 口頭注意
まずは遅刻・早退の事実を確認し、注意を行います。
理由もあわせて確認し、改善を求めます。
② 書面による指導
改善が見られない場合は、始末書の提出や書面による注意を行います。
記録として残すことが重要です。
③ 面談の実施
継続して問題がある場合は面談を行い、原因や改善策を確認します。
必要に応じて勤務時間の見直しなども検討します。
④ 記録の保存
以下の記録を残しておきます。
- 勤怠記録(遅刻・早退の履歴)
- 注意・指導の内容
- 面談の記録
これらは、後に解雇の有効性を判断する際の重要な証拠となります。
改善が見られない場合は解雇が認められる可能性もある
遅刻・早退が長期間にわたり繰り返され、会社の指導にもかかわらず改善が見られない場合には、解雇が認められる可能性があります。
例えば、以下のようなケースです。
- 注意や指導を繰り返しても遅刻が改善しない
- 業務に支障が出ている
- 他の社員に過度な負担がかかっている
このような場合、勤務態度不良として解雇が有効と判断される可能性があります。
ただし、その場合でも、指導履歴や改善機会の付与が十分であることが前提となります。
解雇手続は必ず守る
解雇を行う際には、手続面にも注意が必要です。
原則として、会社は以下のいずれかを行います。
- 30日前に解雇予告をする
- 30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う
また、労働者から請求があった場合には、解雇理由証明書を交付する必要があります。
これらの手続きを怠ると、法令違反となるリスクがあります。
まとめ|遅刻・早退は「継続性と対応履歴」が重要
遅刻・早退を繰り返す社員への対応では、感情的な判断を避け、段階的に対応することが重要です。
ポイントは次のとおりです。
- 遅刻・早退だけで直ちに解雇はできない
- 回数・継続性・業務への影響が重要
- 就業規則の内容を確認する
- 注意・指導・面談を段階的に実施する
- 勤怠や指導内容を記録として残す
- 解雇時には法定手続を守る
実務では、「改善の機会を与えたか」と「記録が残っているか」が最も重要です。
適切なプロセスを踏むことで、会社のリスクを抑えながら対応することができます。
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