パワハラというと、怒鳴る・叩くといった強い行為を思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし実際の相談で多いのは、「そこまで強い行為ではないが、積み重なってつらい」というケースです。
問題になるのは、“悪意”よりも“無自覚”です。
今回は、日常の中に潜むパワハラにつながりやすい行動を整理します。
挨拶を返さない・話しかけない
忙しい、気分が乗らない――理由はあるかもしれません。
しかし、特定の社員に対して挨拶を返さない、必要以上に話しかけない状態が続くと、それは「無視」と受け取られます。
職場における無視は、単なる態度の問題ではありません。
人間関係からの切り離しは、強い心理的ストレスになります。
一度だけなら問題にならなくても、継続すればパワハラと評価される可能性があります。
情報共有をしない
「聞かれなかったから言わなかった」
この姿勢は非常に危険です。
会議日程を知らせない、変更点を伝えない、資料を回さない。
これらは結果として業務遂行を妨げます。
情報は仕事をするための前提条件です。
意図的でなくても、特定の人だけ情報から外す状態が続けば、職場環境を悪化させます。
管理職は、「全員が同じ情報にアクセスできているか」を常に意識する必要があります。
ため息・舌打ち・態度での圧力
言葉にしなくても、態度は伝わります。
・大きなため息
・書類を強く置く
・無言でにらむ
これらは直接的な暴言ではありませんが、威圧的行為として受け止められやすい行動です。
特に上下関係がある職場では、部下は強く萎縮します。
「言っていないから問題ない」は通用しません。
感情を態度で示すこと自体がリスクになります。
プライベートへの過度な介入
プライベートに踏み込みすぎる行為も注意が必要です。
・交際状況をしつこく聞く
・休日の過ごし方を詮索する
・家族構成について必要以上に聞く
業務と無関係な領域に継続的に踏み込むと、「個の侵害」に該当する可能性があります。
コミュニケーションのつもりでも、相手が不快に感じれば問題化します。
特に断りにくい立場の部下に対しては慎重さが必要です。
冗談のつもりのいじり
「場を和ませるため」
この意識が落とし穴になります。
・外見に関する発言
・能力を茶化す発言
・過去の失敗を繰り返しネタにする
本人が笑っていても、本音はわかりません。
周囲が笑っている状況ほど、当事者は否定しづらいものです。
冗談かどうかを決めるのは言った側ではありません。
受け取った側の感じ方が基準になります。
積み重なりが問題になる
日常型パワハラの特徴は、「一つ一つは小さい」という点です。
しかし、それが毎日続けばどうでしょうか。
小さな違和感が積み重なり、
「職場に行きたくない」
「自分は不要な存在だ」
という感情につながります。
企業としては、単発ではなく“継続性”を見る視点が重要です。
無自覚を防ぐためにできること
予防の鍵は、自己点検です。
・特定の人だけに態度が変わっていないか
・情報共有に漏れがないか
・感情を態度に出していないか
そして、相談しやすい環境を整えることです。
声を上げられる仕組みがあれば、小さな芽の段階で対処できます。
まとめ
パワハラは、怒鳴ることだけではありません。
無視、情報遮断、態度での圧力、過度な干渉――どれも日常に潜んでいます。
特に怖いのは、「悪気がない」ケースです。
無自覚は最大のリスクです。
職場は成果を出す場所であると同時に、人が働く場所でもあります。
相手の尊厳を守ることは、組織を守ることにつながります。
パワハラ防止は特別な取り組みではありません。
日常の行動を一つ整えることから始まります。

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